活性酸素とマイナスイオン

電子を奪う活性酸素とマイナスイオン

 がんをはじめ、いろいろな病気の発生原因が活性酸素の仕業であることは、最近の医学で一つの定説になっています。活性酸素がどのようにやってくるのかを、みじかな例で考えると、まず紫外線があります。フロンガスの多用などが原因となりオゾン層が傷つき、オゾンホールができるとそこから強い紫外線が地球に降り注がれます。近年、皮膚がんになる人が非常に多いといわれていますが、その一因は強烈な紫外線にあるといいます。ある資料によると、アフリカなど南半球に住む人の皮膚がんは北半球の人の30倍に及ぶといいます。また、オーストラリアのカンガルーが白内障になったと騒がれたことがありましたが、これは奇病でもなんでもなく、紫外線照射により活性酸素が眼球のタンパク質を変質させたと解釈されています。

 では、紫外線がどうして皮膚がんをつくり出すのでしょうか。紫外線によって4種類の活性酸素が発生します。
 スーパーオキサイドラジカル 過酸化水素 ヒドロキシルラジカル 一重項酸素
といった活性酸素です。紫外線のように“〜線”とよばれているものには、ほかにX線、ベータ線、アルファ線などがありますが、これらは人体に非常に深いところまで浸透していく性格を持っています。つまり、活性酸素は人間の細胞膜から侵入し、細胞の核にまで攻撃を仕掛けてくるということです。

 スーパーオキサイドラジカルの「ラジカル」という意味は、過激なということ。わかりやすくいえば「ゲリラ」です。もっと言い方を変えれば、ゲリラ的泥棒といっていいでしょう。何を奪うのかというと、「電子」です。これら四つの活性酸素は、みんな電子を1つしか持っていませんが、活性酸素が安定するためには電子が2つ必要です。電子が2つあるときにはゲリラにならずおとなしいのに、1つだと暴れまわって、どこからか電子を1つ奪ってくる性格があるのです。電子を細胞核 (DNA)のなかから奪ってしまうのです。これによってDNAの結合の一部が狂ってしまいます。その狂った結合が、あるときにはがんの発症につながるのです。

 このように紫外線は活性化酸素を発生させる非常に恐い光線ですが、紫外線よりさらに怖いのがX線、ガンマー線、ベータ線といった放射性のものです。これらの放射性エネルギーが外圧として細胞の分子に襲いかかると、分子構造そのものが分解してしまいます。
 その際、1回の何百という単位で、玉突き現象のように分子から電子が奪われていきます。活性酸素が遺伝子(DNA)が傷つけられていく結果、白血病ががんになったりします。活性酸素のメカニズムで一番怖いのは、体をつき抜けていく、こうしたタイプの放射線です。
 そのなかでも紫外線は他と比べてそんなに強くありませんが、それでも皮膚にダメージを与えるくらいの力はあります。皮膚の表面で細胞の水を分解し、次いで4種類の活性酸素を作ってDNAを破壊するのです。軽くてすめばシミ、ソバカス、醜くなれば、たくさんの遺伝子(DNA)が切られて皮膚がんになったりします。若いうちは紫外線で肌を焼いても秋口になると皮膚の表面がはがれて、新しい細胞が出てくれば、元に戻るわけです。しかし、遺伝子が壊れたときにはそうはいきません。細胞が生まれ変わるとき、あんまり遺伝情報が壊されていると、破壊されたままの遺伝子で新しい細胞を作ります。それでシミ、ソバカスになったり、がんになったりするのです。いまは地球環境がひどく悪化している時代ですから、昔の紫外線とは降ってくる量が違います。

 それなのに夏の海岸でがんがん肌を焼いていたり日焼けサロンに通っている若い人をいまだに多く見うけます。若いからいいなどとはいってられません。皮膚がんになったり、がん細胞が移転することも十分にあり得るわけです。昔のように気軽に肌を焼いて健康的に黒くなろうという時代は終わったのです。自分の体は自分で守っていかなければなりません。では、どう守っていくか。まず抗酸化物質、さらに活性化酸素に“電子”を与えられる物質を体内に取り込む、これがポイントになります。

 ロシアのチェルノブイリ原子力発電所事故の例にもあるように、原子炉からとび出した放射線を浴びて発症する白血病も、食べ物による予防もあり得ます。たくさんの電子を奪われた末の病気なのだから、理論的にはそれに負けないほどのたくさんの電子を供給する食べ物を摂ればよいわけです。

 電子をたくさん持っているビタミンC、ビタミンE、ベータカロチン、ミネラル水(ロックミネラル)といった抗酸化食品がその代表格といってよいでしょう。これらのビタミン、ミネラルを多量に含んだものを摂ることで、活性化酸素に立ち向かうことができるのです。活性化酸素は「足らない電子を欲しがる電子泥棒」ですから、彼らが実力行使に出る前に、ひょいと電子を一つ与えてやる。それができるのは電子を一つ余分に持っている抗酸化食品なのです。電子を与えたあと、ビタミンは、しばらくは体内をぐるぐる回っていますが、そういつまでも持ちこたえられることはありません。電子を余分に持っていたときは「還元型」のビタミンだったのに、電子を与えたあとのビタミンは、残念ながら「酸化型」のビタミンに変わってしまうのです。がん末期の人の血液を調べるとビタミンCもビタミンEもベータカロチンもあるにはあるのですが、みんな酸化型で、還元型ではないのです。
 ところがここに電子を補給するもう一つの方法があるのです。マイナスイオンで与える方法です。早朝の大気中にはたくさんのマイナスイオンが浮遊しています。マイナスイオンは朝6時ごろから10時ごろまでが一番多いといいます。とにかく、窓を大きくあけ、外気を部屋いっぱいに取り入れ、深呼吸をして口からも皮膚からもマイナスイオンをたくさん取り入れる、すると体内に入ったマイナスイオンは血液に溶け込んだあと、必ずビタミンに付着していく性質があるため、酸化型だったビタミンCやビタミンE、ベータカロチンを再びもとの還元型に復活させていくのです。がんの治療にも病室にマイナスイオン発生器を入れ、24時間かけておくのも体調を改善する方法になるのではないかと考えられます。

 ビタミンをうまく敗者復活させるには、マイナスイオンをより多く吸収する日常生活が第一です。しかし、マイナスイオンが体内に入り、還元型にしようとしても、それを受け入れるビタミン類、ミネラル類が存在していなければ何にもなりません。そのためにも日ごろ食事でビタミンB、ビタミンCやビタミンE、カロチンそしてミネラルなどを多く含んだ食品を摂る心掛けが重要になってきます。