マイナスイオンと自然

自然は共存関係で保たれる

 人間の体を癒してくれるマイナスイオンをたくさん発散する滝ですが、滝が存在するためには、森林が重要です。滝と森林は、表裏一体の存在です。というのは、滝の水を清くしたり、水量を調節するのが森林の役目なのです。どんな滝でも美しい森林なくては存在しません。日本ほど滝や森林に恵まれた国はありません。

 言い変えれば、マイナスイオンと健康を語るときには、どうしても自然の偉大さ、尊さ、自然を活かすことが肝要なのです。

 一時期、森林浴が体によいということで、植物が発するフィトンチッドという森林の香料エキスがもてはやされました。フィトンチッドの「フィトン」とは植物のことで、「チッド」には殺すという意味があります。しかし、森林浴にはすべてフィトンチッドの作用だけのものではありません。その背景にはマイナスイオンの大きな働きが秘められているにです。森林には新鮮な空気が漂い、人間にとってその嗅覚のメカニズムは、香りとマイナスイオンに共通した心理的、生理的なリラックス効果があります。ですから、滝という自然の大きなマイナスイオン発生装置が、森の緑を守り、同時に人間の体と安らぎを増強しているのです。

植物が教えるマイナスイオン効果

 では、現在の家庭環境を振り返ってみましょう。まず、家庭の空気イオンの状況はどうなっているのでしょうか。現代の建築様式は、かつてのものと比べると180度様変わりしてしまいました。空気をきれいにする仕組みをもつすぐれた木造建築は、次第に鉄筋コンクリートの洋風建築に変わりました。窓枠さえも、アルミサッシでがっちり固められて、わずかな空気さえ通すことがありません。さらに、一つ一つの部屋は科学物質を含んだ壁で仕切られているため、人間の体に悪影響を及ぼし、汚れた空気を充満させる原因にもなっています。科学物質、ほこり、ダニ、カビ、悪臭など密閉された部屋の中にあるこれらの汚れは、細かく分析すると、どれもプラスイオンに傾いていることがわかります。

 つまり、外国の天井に比べ、特に天井の低い日本の建築、そのなかでもとりわけジュウタンやカーペットの洋室に住んでいる人は、汚れた空気のなかにいるといっても言い過ぎではないでしょう。

 というのは、その繊維の隙間に細かいダニやほこりがこびりついているからです。ところが、こんな現代住宅にも、マイナスイオンがまったくない、というわけではありません。マンションや家のなかでも、マイナスイオンの多い場所があります。それは、第一にシャワー付きの浴室です。第二は、トイレ、そして第三は風通しの良いベランダとなります。なぜシャワー付きの浴室がいいのかというと、滝と同じように水が飛び散ると細かな水滴(正確に水分子)ができるからです。この周囲の空気にはマイナスの電気を帯びたイオンがいっぱいです。つまり、シャワーを使ったり、トイレの水を流したりすることで、マイナスイオンが大幅に増加するのです。たとえば、疲れたときにお風呂で浴びるシャワーのすがすがしさは、誰もが経験したことがあるはずです。また、トイレの水を流すのも、同様なことがあてはまります。やはりトイレは瞑想には格好の場所なのでしょうか。庭に木など植物を植えたり、噴水を作ったり、泉水を流したり…。そのような生活のその場その場でイオンの分布が変わります。

 ところで、浴室にマイナスイオンを効率よく発生させ、呼吸する方法があります。それはシャワーを約5分以内にし、体からなるべく遠ざけて水しぶきをたくさん浴びることです。いくらシャワー好きでも、長い間はいけません。逆にプラスイオンが狭い浴室に充満してしまうからです。

 さてそれでは、ここでプラスイオンの多い浴室の空気を少しでも減らす秘訣を紹介しましょう。前に、天然の樹木や畳のもぐさなどの植物が有害物質を吸収し、空気をきれいにするのに役立つと説明しました。そこで、その考え方に立って、部屋の空気をきれいにする方法として植物をおくことをお勧めします。