家畜化現象がアトピーを誘発

「家畜化現象」がアトピー性皮膚炎を誘発する

 微量な科学物質は、その微量さゆえに、すべての人に同様な健康被害をもたらすということではありません。科学物質にさらされている本人ですら、気づかないことが多いのです。しかし、これらに敏感な人もいたり鈍感な人もいますが、すべての人は潜在的に爆弾をかかえているようなものともいえます。有毒な科学物質は、どんな微量であっても、空気であれ、食品であれ、水であれ、そこからいつのまにか私たちの細胞をむしばみ、免疫系に異常を引き起こし、複雑な原因が入り混じって新しい現代病をつくり出していきます。あるいはこれはまた、現代病の予備群とも表現できるでしょう。空気の汚染、冷暖房による温暖化、結露、細菌の繁殖、これらの部屋の状態と病気の結果を「家畜化現象」といいます。アトピー性皮膚炎やゼンソク、リウマチなどのアレルギー性疾患など、その多くは、これら家畜化現象で生じる症状で、主にあれこれといった特定の症状を呈しない不定愁訴の初期的な病状を経て、発病に至った例が多いものです。ですから、軽い症状でも見逃すことは許されません。そのうえ症状が一元的な原因による病気ばかりでないので、この現代病の解決の糸口を探ることは、問題があまりにも複雑すぎるのと同時に、現実には困難な作業でもあります。それだからこそ、今、医療はこの問題に対して、住宅対策を重視し、衣・食・住の総合点検から出発しなければならないでしょう。21世紀の住宅問題は、“耐震住宅から高齢者福祉住宅、バリアフリー住宅から癒しの住まい・健康からの発想”に基づいた予防医学の充実を余儀なくされているのです。